衆議院総選挙公約比較-15の争点-シリーズ
今回は【北朝鮮問題】です!
北朝鮮問題とは
北朝鮮は金正恩体制において、4度の核実験と3度の日本列島上空を超えるミサイル実験を行っており、核弾頭ミサイルの開発にも成功している可能性が高いと見られています。こうした現状に対し、日本国民の安全をどのように守るのかが議論されています。
物議を醸した経緯
北朝鮮は以前からミサイル、核開発、拉致等様々な問題で危険視されてきました。
そのような中、今年8月にも北朝鮮のミサイルが日本上空を通過しており、喫緊の課題として一層取り上げられることとなりました。
この問題の背景
北朝鮮はこのような軍事開発をなぜ継続するのでしょう。その理由として、瀬戸際外交に軍事開発を利用しているということが頻繁にいわれます。軍事開発により緊張感を高め、「こちら側のいうことを聞いた方が安全だ」とすることで相手側の歩み寄りを引き出そうとするのです。特にアメリカとの対立を深める北朝鮮は、この外交戦略を近時明白にとっていると言えましょう。また、国威発揚の意図もあると考えられます。
では、北朝鮮はなぜ軍事開発を継続できるのか。その資金源はどこなのか。これに関しては、中国やロシアなどの海外に派遣された北朝鮮労働者の賃金、秘密裏に行われている武器輸出の対価などの外貨が資金源であると指摘されます。
こうした現状にある北朝鮮に対していかなる対応をしていくのか、各党の政策や姿勢を次に見ていきます。
各党の姿勢概要
各党が今後北朝鮮に対していかなる方針で臨むのか、公約で記されたものがこちらです。
▼圧力を重点的に加える(自民党、日本維新の会)
自民党と日本維新の会は、国際社会との連携による北朝鮮への強固な圧力を唱えます。
▼対話と圧力を一体的に行う(公明党、共産党、社民党)
公明党は国際社会との連携することで制裁の実効性を高めつつ、圧力と対話を行うとし、共産党は経済制裁の強化と対話による平和的解決を一体で行うとします。社民党も制裁一辺倒ではない対話による平和的解決を図ります。
▼圧力により対話を導く(希望の党、立憲民主党)
希望の党は、国際社会との連携のもと北朝鮮への制裁実施を働きかけるが、それは挑発ではなく対話への足がかりとします。また立憲民主党も同様です。
▼軍備を強化する(日本のこころ、幸福実現党)
幸福実現党は、北朝鮮の対処方法として対敵基地攻撃能力を保有するとし、北朝鮮は憲法前文の「平和を愛する諸国民」にはあたらず憲法9条の対象外とします。日本のこころも敵基地攻撃能力の保有を唱えます。
以上のように公約で記される各党の姿勢からは、圧力、対話、軍備強化の三元的な対北朝鮮政策がみてとれると考えます。そしてまた、これらの政策を単独ではなく、複合的に組み合わせて用いる場合もあるのです。
次からはその3つの具体的な内容を見ていきます。
●政策① 圧力 (主に自民党、日本維新の会。ついで希望の党、立憲民主党、公明党、共産党、社民党、日本のこころ?)
【具体的な内容】
北朝鮮への圧力は、各国と協力すると多くの政党が明言します。石油の取引規制など貿易面での規制が強く言われており、G7においても最大限の経済的圧力をかけることで一致しました。
【支持する見解】
安倍首相は、「これ以上対話をしても行き詰まるだろう。一刻も早く北朝鮮に最大限の圧力をかけるべき時だ」と述べています。この発言はアメリカでもニュースになりました。
また先日、各国の議員が集結するロシアの国際会議に出席した自民党の園田修光議員は「北朝鮮の行動は国際社会の平和と安定を損ない、唯一の被爆国として容認できない」、「北朝鮮は圧力をかけなければ直らない」という旨の発言をしており、対話ではない圧力強化の方針を示します。
【異なる見解】
一方で北朝鮮のアン・ドンチュン副議長は、「自国北朝鮮の核はアメリカのせいであり、自衛の手段であって、それを日本が否定するな」という旨の反論をしました。
またロシアのラブロフ外相は、過去に「外交的な解決の可能性をなくすべきではない」、「中立的な欧州諸国が仲介役になり得る」と述べています。
さらに、ネガティブな要素として、中国は北朝鮮への禁輸にはなかなか応じようとしません。というのも、北朝鮮と国土的に近い中国は、石油禁輸で北朝鮮が危機に陥った場合の難民や暴走を恐れているといわれます。
●政策② 対話(主に共産党、社民党。また希望の党、公明党、立憲民主党)
【具体的な内容】
対話による平和的解決を目指すとしています。
【支持する見解】
前述したラブロフ外相の発言からも対話による平和的解決への支持が伺えます。また共産党の赤嶺議員は「戦争への発展が安易に語られてはならない。絶対に戦争にしてはならない」として戦争を危惧する観点から対話を重視しています。
【異なる見解】
これに対して安倍首相は、「対話のための対話は意味がない」と発言しています。
●政策③ 軍備強化(日本のこころ、幸福実現党、自民党?)
【具体的な内容】
対空防衛、迎撃のためのシステムであるイージスシステムを陸上に設置したイージスアショアや、より高度での迎撃のためアメリカで開発されたTHAADミサイルを導入しようとします。また敵基地位置情報の把握など敵基地攻撃能力を保持すべきと日本のこころは述べます。
幸福実現党も、敵基地攻撃能力の保持を唱えます。
【支持する見解】
日本のこころの中野代表は、基地攻撃能力について「あくまでも抑止力」とし、北朝鮮について「力を持たない限り交渉にはのってこない」と述べました。
【異なる見解】
共産党の志位委員長は、先日行われたネット討論会において「憲法9条の理想にむけて自衛隊を徐々に変える。日本を取り巻く平和環境が成立し、自衛隊無くても大丈夫と国民の合意を得ることのできる状態にし、自衛隊をなくす」と述べました。このことから、軍備強化は9条と適合せず、必要ないという見解があるといえましょう。
まとめ
北朝鮮への対応は、どれか1つの政策のみに視野を絞るのではなく、現状に適合した政策を柔軟に採用していくことが必要であると考えます。そのためには、各国の動静を一分一秒追っていくことが大切ではないでしょうか。
参考資料
https://mainichi.jp/articles/20170416/k00/00m/030/059000c
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3802/1.html
https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-38830220090702
https://dot.asahi.com/aera/2017040400050.html
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10556?layout=b
https://www.google.co.jp/amp/toyokeizai.net/articles/amp/186095
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171017/k10011179851000.html
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/271904.html
https://www.google.co.jp/amp/s/www.businessinsider.jp/amp/post-105103
https://www.google.co.jp/amp/www.sankei.com/world/amp/170904/wor1709040070-a.html
https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapannews/2017-shuin-kouji-kokoro?utm_term=.ljzDEV7wdW#.aa6rkpW7Gx
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50173?display=b
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGN22H1I_T20C17A9000000/
http://senkyo.japanchoice.jp/archives/113
この記事は全党の公約を参考に執筆しました。公約へのリンクはこちら