【教育無償化】公約比較-15の争点- 2017衆議院議員総選挙

2017年10月18日 文責:辻下美智子

衆議院総選挙公約比較-15の争点-シリーズ
今回は【教育無償化】です!

教育無償化が必要とされる背景

「家庭の経済状況によって十分な教育を受けることができない。」
これは私たち誰にとっても起こりうる、とても身近な問題です。そして一度生じた教育の格差はその子だけでなく、その子の子供、孫…と世代を超えて連鎖していくことが知られています。

「子供を育てる余裕なんかない。」

親の側から見ても、教育費が負担になり、そもそも子供を持つことを断念してしまうことも少なくありません。これはその人達が生きたいように生きられないという意味ではもちろん、社会全体から見てもとても残念なことです。少子高齢化が急速に進む日本において、子供を産み、育てやすい環境を整えることは喫緊の課題です。

ではこの問題に対してどのような対策がなされているのでしょうか。
奨学金、助成金、授業料の減免、、、、など様々な方法での保障が行われています。
例えば現在、大学生の約半分が奨学金を受給しています。

しかし実は日本の公的教育支出の割合は他国と比較しても低いのです。

また、子供の貧困率も2015年で13.9%となっていて、前回の調査から若干の改善が見られたもののいまだ7人に1人が貧困とされる状態です。

そこで今回の衆院選はより広い範囲での教育への保障、すなわち教育の無償化が訴えられているのです。

各党の政策比較

しかし一口に教育の無償化と言ってもその手段はさまざまで、それによって影響を受ける人、範囲も変わってきます。

今回の衆院選で論点となっているのは大きく分けて幼児教育と高等教育2です。

この2つを含む論点に関して各党がどのような主張をしているか見ていきましょう。

▼全教育課程無償化(公明党,日本維新の会)

公明党、日本維新の会は幼児教育・高等教育を含む、教育全過程の無償化を党の重要政策として掲げ、特に日本維新の会はこれを憲法上の原則として定めるとしています。

教育の機会均等を実現するとても理想的な政策ではありますが、教育の質の低下や4兆円を超えると言われる財源の確保が課題となりそうです。

財源として日本維新の会は公務員の削減によって、公明党は消費税の増税分を用いるとしています。

▼幼児教育無償化(幸福実現党以外の全政党)

幼児教育とは小学校就学前の0-5歳の幼児を対象とする教育を指し、幼稚園の授業料や保育料の無償化についての議論がされています。幼児教育の無償化に関しては幸福実現党を除く各党が賛成の立場を示しています。幸福実現党は増税による一律での無償化はバラマキ政策であるほか、教育の質の低下を招く恐れがあるため反対としています。

また日本のこころは、バウチャー制度(学校教育に使用目的を限定したクーポン)の導入を主張しています。

これによって保護者が自ら幼稚園保育所を選ぶことができ、競争原理によりサービスの質の向上が見込めます。

幼児教育無償化には1兆円が必要だと言われており自民党は財源として公明党と同様、消費税の増税分を用いるとしています。

▼高等教育無償化

高等教育とは大学、大学院、短期大学、高等専門学校などの教育を指します。

高等教育に関しては、各党完全な無償化ではなく、返済の必要がない給付型奨学金の拡充や授業料減免などで経済的に苦しい学生への援助を広げる方向性です。現在奨学金の多くは返却が必要な貸与型で、卒業後何十年もかけて返済する人も少なくありません。

給付型の奨学金によって将来、奨学金の返済に追われて結婚や子育てにお金を回すことができないかもしれない、という懸念をせずに勉強をすることができると期待されています

日本維新の会、公明党に加え共産党や社民党も将来の完全無償化を目指すとしていますが、幼児教育と同様、教育の質の低下や学生の意識の低下につながるのではないかという懸念があります。

まとめ

今回の公約は「無償化を目指す」という方針にとどまるものが多く、実際にそれがどのように達成されるのか、というロードマップは描かれていないといえます。

しかし、だからこそ、どの所得水準で授業料の減免や奨学金の給付を行うのか、財源としては何を使うのかなど、より細部に踏み込んだ議論を進めることが今後重要になっていきます。

現段階で教育無償化を争点として投票先を選ぶのは、確かに難しいかもしれません。それでも、どこに入れても同じだと思わず、また選挙で投票したらそこで終わりだと思わす、是非じぶんごととしてこれからの議論にも興味を持って参加してみてください

 

参考資料

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/365321/
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shougakukin/main.htm
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf

この記事は全党の公約を参考に執筆しました。公約へのリンクはこちら

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