衆議院総選挙公約比較-15の争点-シリーズ
今回は【夫婦別姓】です!
選択的夫婦別姓とは、そしてその背景
現状では、結婚した場合男性か女性のどちらかが改姓をする必要がありますが、他方で別姓を使用する必要性を考慮し,選択的夫婦別姓制度の導入が検討されつつあります。
選択的夫婦別姓制度とは、結婚した時に夫婦同姓か別姓を選択できる制度です。
背景としては、近年女性の社会進出が進んでいることがあります。慣習で女性が改姓を強いられることが多く、公的書類を変更する必要があるという不便、また職務上での不便があります。
最高裁での判決
2015年には夫婦同姓規定は女性差別をもたらすものであり、憲法違反であるという訴えに対して、最高裁は夫婦同姓規定は合憲だと判決を下しました。
理由として、最高裁は、氏名は人格権の一部ではあるが、憲法は名字の変更を強制されない自由までは保障していないと判断しました。
その上で、「結婚及び家族に関する事柄は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況を踏まえつつ、総合的に判断して定められるべきだ」とし、国会で議論されるべきことだと述べました。
各党の政策比較
次に各党の公約を比較してみましょう。
▼民法を改正して選択的夫婦別姓制度を導入(立憲民主党,共産党,社民党)
これは文字通り選択的夫婦別姓制度を導入するというもので、今回2017年の衆院選では立憲民主党、共産党、社民党がこれを公約としています。
メリットの一点目として、生活上の各種手続きがスムーズになるというのがあります。つまり、結婚しても改姓する必要がないので、パスポートや住民票といった公的書類及びクレジットカードや銀行口座なども変更する必要がありません。
二点目として、職務上の不便もなくなります。会社の同僚や取引先の人に名字の変更を伝える必要もなくなりますし、名刺などの変更の手間も省けます。
三点目としては、自分のアイデンティティとしての姓を変更する必要がないので、アイデンティティを保持できるという点があります。
▼旧姓制度の使用を幅広く認める(主に自民党)
これは主に自民党が提案しており、具体的には
・住民基本台帳とマイナンバーカードにおける旧姓併記・パスポートの旧姓併記の検討・銀行口座において旧姓使用が可能となる働きかけ
を公約で述べています。
これは、選択的夫婦別姓制度導入のデメリットを考慮してのことでしょう。
デメリットとしては、
一点目に、家族の中で姓が違うと、統一感が失われ、結果として家族の一体感や絆が失われるといった、伝統的価値観・家族観を重視した意見があります。子どもの姓はどうするのか、といった議論もあります。
二点目に、家族の中で姓がバラバラになることによって、外から家族として認知しにくくなるのでは、といった主張があります。
▼まずは議論を進める(自民党,公明党)
これは自民党、公明党が公約で述べており、基本的には2015年の最高裁の判決に沿ってまずは選択的夫婦別姓制度導入に関して議論を進めるべきだという主張です。
まとめ
今回の衆院選では公約で選択的夫婦別姓制度には触れていない政党(希望の党,維新の会、幸福実現党など)も一定数いました。まずは今後議論を深めていくべきでしょう。
参考資料
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q8
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/234129.html
https://nanapi.com/ja/124825
この記事は全党の公約を参考に執筆しました。公約へのリンクはこちら