ポイント
・過去最大の選挙区の区割り変更が行われた
・「1票の格差」の是正のために変更が必要だった
・数年後には大規模な選挙制度改革がなされる可能性高い
選挙区いつもと違ってませんか?
投票ハガキが届いていつもと選挙区が違うと感じた方がいるのではないでしょうか。
なぜ選挙区がいつもと違うのか。
それは、過去最大の選挙区の区割り変更が行われたからなのです。
「えっ!?過去最大規模の変更があったなんて知らなかった!」
そんなあなたのために今回の区割り変更についてわかりやすく解説していきます。
今回の選挙での変更点はなに?
この選挙では、19都道府県97選挙区の区割りが変更されました。
全国の3割の選挙区で変更がなされたことになるのです。
これまでの衆議院の選挙では,全国に295ある選挙区から1人を選出する「小選挙区」選出の295人と、全国11ブロックごとの「比例区」選出の180人が衆議院議員となっていました。そして、この選挙区の線引きが今年6月に見直されたというわけです。
(画像引用 法務省ホームページ)
具体的に何が行われたの?
では、具体的に何が行われたのか掘り下げていきましょう。
①選挙区の区割り見直し
19都道府県の97選挙区で見直しが行われ、東京では全選挙区の8割以上となる21選挙区で区割りが変更されることになりました。
②議員定数も削減
議席も「定数削減」されることになり、「小選挙区」については青森・岩手・三重・奈良・熊本・鹿児島の計6県で6議席が減り295人から289人に、「比例区」が4議席減り180人から176人になりました。
この変更によって、前回当選した候補者が小選挙区では立候補できず、比例区の単独候補に転出するケースが生じるなど、候補者自身も区割り変更により対応を変えなければならない事態となりました。
また、有権者自身にとっても、これまで知っていた議員に投票できなくなったために、どこに入れてよいのかわからないといった不安の声もあがっています。
新しい区割りがどうして必要なの?
ズバリ都市部の選挙区と地方の選挙区の間にある「1票の格差」を是正するために、新しい区割りが必要だったのです。
そもそも「1票の格差」とは、有権者の1票の価値は平等という原則があるにもかかわらず、選挙区割りなどの理由で議員一人を当選させるために必要な票数に地域間格差がある状態をいいます。
この「一票の格差」是正の訴えが国政選挙のたびになされており、「一票の格差」が2倍を超えた過去3回の衆議院選挙については、最高裁から「違憲状態」という判決が下されました(もっとも、選挙結果は有効とされてきました)。
しかし、判決があったにも関わらず見直しなしに次の選挙を行ってしまうと、次に裁判になったときには,違憲状態ではなく完全に違憲判決が出てしまい、選挙結果自体が無効になってしまう可能性があります。そこで国会は「1票の格差」を是正するために選挙制度改革を迫られたのです。
格差を是正するために考えられる選挙制度改革の方法として、主に①都会の選挙区をよりこまかく分割して定数を増やす、②地方の選挙区を今より広く分割して定数を減らす、のいずれかが考えられます。
今回の選挙では、選挙区ごとの「格差」を縮めることを優先して、②地方の選挙区を今より広く分割して定数を減らす方法を用いる事になりました。その結果、2020年の将来推計人口をもとにした一票の格差は最大1.999倍に抑えることができました。
しかし、105の市区町が変更を余儀なくされ、候補者の中には議員に必要といわれる『カバン(金)、地盤、看板(知名度)』のいわゆる3バンのうち、地盤と看板を失ってしまい、今回の選挙で不利な状況に立たされている方もいらっしゃいます。
数年後にはまた区割りが変わるらしい!?
ところで、過去最大規模の改定が今回行われたのにも関わらず、なんと数年後の衆院選でまた区割りの見直しを行う可能性が浮上していることはご存知ですか。
今回の選挙では、2015年の国勢調査をもとに、将来の有権者数を推計して一票の格差が「2倍未満」になるようなんとかおさえた形ですが、これから先も地方の過疎化といった理由で「1票の格差」は広がることが予想されます。
そこで、2022年以降の見直しでは、人口比に応じて都道府県に議席を配分する「アダムズ方式」の導入が検討されているのです。
アダムズ方式が導入されれば、人口変動に応じて自動的に各都道府県への配分が決まることになるので、これまでのように国会で議員定数を削減するための話し合いを行う必要はなくなります。
しかし、もともと地方は影響力が弱く都市部は影響力が大きい傾向がみられるので、1票の価値に差があることは当然だという意見や、「地方の切り捨て」につながるとの意見が反対派からは上がっています。
この新しい選挙制度であるアダムズ方式についてはNHKの解説委員室で詳しく説明されているので、興味を持った方はぜひ一度読んでみてください。
まとめ
過去最大の選挙区の改定が行われた今回の選挙。
たしかに「1票の格差」を是正することは大切なことですが、なじみのない候補者に投票することに戸惑っている有権者の方もおられるのではないでしょうか。
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あなたの一票で「今」を変えられる。
この機会に一度、自分の1票を託したい相手を見つけてみてはいかがでしょうか。
<参考>